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神奈川県寒川町で十二代続く、現在は芍薬を露地栽培している農家の住宅を設計事務所エーアンドエー時代の元同僚(椿千賀子・門田幸枝・竹内国美)3人で改修しました。長い時間をかけて作り上げられた風景を変えることなく、改修という方法でも快適な住まいは作れるということを地域の方々へ発信したいという、ご家族の強い思いがありました。寒川町をおとずれ、風景と暮らしを垣間みた我々はその思いに共感し、意義のある改修にしたいと考えました。家は築53年を経た、小舞い壁、瓦屋根の古き良き日本らしい住宅でした。芍薬博士と呼ばれた大谷応雄氏(先代)の作った庭は、ココス椰子、ドラセナ、ソテツなどが成長し、どこか南の国にいるのかと思わせる風景を作り出していました。この庭とのつながりや断熱材の入っていない冬の寒さなどの熱環境の改善、またさらに50年住み続けるための耐震性能の向上も大きなテーマでした。
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寒川町は湘南地域の一角であり、相模川のほとりのおおむね平坦な地形で、宅地と田畑が大部分を占めています。JR相模線寒川駅近辺は郊外の住宅地の様相ですが、敷地周辺は昔ながらの農家が所々見られます。一軒一軒の敷地面積が広く、多彩な庭木が育っています。改修前の家は純和風の住宅ながら、家自体にも根がはえているかのように庭の木々にとけ込んでいました。日あたりのよい広縁がありましたが、食堂や居間部分には開放的な開口部がなく昼間でも暗い部屋がありました。2階は下屋の照り返しや天井に断熱材が入っていないため、夏はかなり暑い状態でした。日照が充分期待でき、南向きの屋根であることから、太陽熱を利用するOMソーラーを導入しました。木々をわたる心地よい涼風が南から北へ抜ける開口部のあり方も大事にしながら、プランニングを進めました。
設計 椿 千賀子
門田 幸枝
竹内 国美(K+Yアトリエ)
施工 安池建設工業
ガラス製作 大谷 佳子
■2011年 施工 安池建設
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工事の記録
お座敷以外は、柱や梁が見える軸組の状態にして構造材の痛みなどを確認し、耐震補強、熱環境を改善しました 築年数をかなり経た家は、水回りの構造材が傷んでいることが多いです 改修前の外壁は木舞い下地の土壁(断熱材なし)でしたが、増築部分に一部断熱材のグラスウールが使われていました 雨漏りでグラスウールが水を含んだらしく、蟻道のようなものも見られました 既存の基礎に新規の基礎を抱かせて補強しました OMソーラーを導入するので、土だった床下にコンクリートを打設しました 2階の肘掛け窓は改修前の窓を再現しました この家を建てた大工さんのおひとり(後列左)に来ていただいて、建築時の話をうかがいみんなで記念撮影