神奈川県寒川町で十二代続く、現在は芍薬を露地栽培している農家の住宅を設計事務所エーアンドエー時代の元同僚(椿千賀子・門田幸枝・竹内国美)3人で改修しました。長い時間をかけて作り上げられた風景を変えることなく、改修という方法でも快適な住まいは作れるということを地域の方々へ発信したいという、ご家族の強い思いがありました。寒川町をおとずれ、風景と暮らしを垣間みた我々はその思いに共感し、意義のある改修にしたいと考えました。家は築53年を経た、小舞い壁、瓦屋根の古き良き日本らしい住宅でした。芍薬博士と呼ばれた大谷応雄氏(先代)の作った庭は、ココス椰子、ドラセナ、ソテツなどが成長し、どこか南の国にいるのかと思わせる風景を作り出していました。この庭とのつながりや断熱材の入っていない冬の寒さなどの熱環境の改善、またさらに50年住み続けるための耐震性能の向上も大きなテーマでした。